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良い組織風土を醸成する必要性とメリットを紹介!

良い「組織風土」とは

良い「組織風土」とは、具体的にどのような組織を指すのでしょうか。そもそも組織風土とは、組織内の仕事環境で共有された価値観や認識のことです。従業員の間で暗黙の了解として醸成された習慣や独自のルールは、組織風土の一種といえるでしょう。従業員同士の価値観や認識が合致していれば、必要最小限のやり取りで業務を進められ、意思決定もスムーズに行いやすくなります。仕事の効率性が高まれば、組織のパフォーマンスも向上していくでしょう。

良い組織風土を醸成するためには、望ましい組織風土の要素とされるチェックポイントに沿って、現状を評価してみることが大切です。チェックすべきポイントはいくつもありますが、例えば以下のようなポイントが重要です。

  • 企業ビジョンが明確で、従業員にも周知徹底されているか。
  • 現場の声が経営層に届いているか。
  • 組織内の風通しが良く、部門間のコミュニケーションが活発に行われているか。
  • 組織目標に必要な規範や行動を従業員一人ひとりが理解・実践できているか。
  • 社員一人ひとりが本音を言えているか。
  • 上記の実施に必要なコミュニケーションライン(連絡系統)が確保されているか。

組織文化、社風との違い

組織風土と似た言葉に、「組織文化」や「社風」があります。それぞれとの違いも理解しておきましょう。

組織文化とは、組織内で共有されている価値観や信念のことで、個々の従業員の属性を超えて存在するものです。組織文化に大きく影響するのは、経営理念や就業規則といった組織全体を管理するための判断基準です。これに対し、組織風土は、成果主義年功序列か、トップダウンボトムアップか、上昇志向か安定志向かといった要素に影響され、従業員の仕事やモチベーションにも関わります。ただし、両者は明確に区別されているわけではなく、影響する要素には被る部分もあります。また、組織風土は組織内に自然と根付いたものであり、外部からの影響で変化しやすい組織文化に比べて、改革が難しいという違いもあります。

社風とは、従業員が感じる企業の雰囲気や価値観のことで、「明るくて仲が良い」「ピリピリしている」など、感覚的な要素も多いのが特徴です。情報や数値として可視化できないため、入社前に伝えるのが難しく、従業員が早期離職してしまう理由に挙げられやすいものでもあります。

組織風土を構成する要素

組織風土は、主にソフト面とハード面という2つの要素から構成されます。ここでは、それぞれの具体例を挙げ、特徴を解説します。

ソフト

組織風土を構成する「ソフトな要素」とは、従業員一人ひとりの意識や行動、価値観、人間関係などによって構成されるものです。経営スタイルやチームワーク力、上下関係、信頼関係、モチベーション、従業員エンゲージメント、組織内のローカルルールなどがソフトな要素の例として挙げられます。

「始業時間の10分前には着席しておく」「忙しい人がいれば手伝う、代わりに対応する」といった形で表面化しますが、いずれも暗黙のルールのように存在するもので、明文化はされていません。目には見えないのがソフトな要素の特徴であり、改革には従業員自身の意識や行動を変革することが必要です。

ハード

組織風土を構成する「ハードな要素」とは、組織において明文化された価値観や組織構造、制度などを指し、組織運営における意思決定の基盤となるものです。目に見える要素であり、経営層の積極的な働きかけによって大きな変化を生み出せます。企業のビジョンやミッション、コーポレートガバナンス、中期経営計画、人事評価制度、クレドコンプライアンスに関するルールなどが、ハードな要素の具体例です。

良い組織風土を醸成するメリット

良い組織風土の醸成は、組織運営にさまざまなメリットをもたらします。主なメリットとしては、企業ビジョンの共有や従業員エンゲージメントの向上、離職率の低下などが挙げられます。

まず、組織風土のハード要素である企業のビジョンやミッションを提示し、従業員にも周知徹底することで、企業と従業員との目指すべき方向性を合わせられます。これによって業務の生産性が上がり、経営層が目指す事業計画の実効性も高まるでしょう。

次に、良い組織風土の醸成は、人間関係が良好な職場環境の構築に寄与します。従業員は自社に愛着心や誇りを持てるようになり、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。従業員エンゲージメントが高い人は自社への貢献意欲が高く、仕事にもやりがいを感じているため、離職防止にも効果を発揮するでしょう。このような人材は自社のことを周囲にも紹介したくなるため、自社にマッチする知人や友人を推薦するリファラル採用の可能性も生まれます。

組織風土の変革が求められる背景

組織風土の変革が求められる背景には、大きく3つの理由が存在します。

まず、世界はVUCA時代に突入しているということです。VUCA時代とは、変化が著しく、将来の見通しが複雑かつ困難で、捉えきれない事象が多い時代のことを意味します。このような時代に企業が生き残り、成長を続けていくために必要なのは、挑戦や進化を恐れない組織と従業員であり、組織風土の改革が叫ばれているのです。

次に、終身雇用制度の崩壊に伴い、人材の流動化が進んでいる点です。企業の知名度や待遇だけで、優秀な従業員を引き留めるのは難しくなっていると言わざるを得ません。人材を定着させるには、従来のように企業が一方的に従業員を管理するのではなく、企業と従業員が相互に作用し合える組織風土への見直しが必要です。

3つ目は、労働人口が減少するなか、働き方改革やテレワークの普及によって、働き方そのものも多様化している点です。「ワークライフバランスを重視しながら働きたい」など、仕事に対する価値観にも変化が生まれています。多様な人材の雇用や勤務を受け入れるダイバーシティへの取り組みは今や企業の経営戦略の一つであり、それにマッチする組織風土への改革が重要になってきています。

組織風土を変革する際のポイント

組織風土を変革する際は、あらかじめ課題や注意点を知っておくことが大切です。ここからは、組織風土を改革するときに押さえておきたい重要なポイントを3つ紹介します。

まず、組織風土は長い時間のなかで自然に定着したものであり、改革にはそれ相応の時間がかかります。年単位でPDCAを繰り返しながら、中・長期的に取り組む必要があるでしょう。

また、組織風土における課題の明確化は難しいということも覚えておきましょう。特にソフト面の要素は目に見えないため、要素の抽出や課題の特定が容易ではありません。ただし、課題の抽出が不十分であると改革の効果が弱まってしまうため、時間をかけて丁寧に課題を洗い出していく必要があります。そのため、まずは変化を加えやすいハード面から着手していくのも手です。

最後に、未来に向けて組織風土をどのように変えていくべきかを、明確に定義しましょう。定着しているものとは異なる組織風土を従業員に浸透していくには、現状から組織をどう変革しようとしているのか、それがなぜ必要なのかをわかりやすく定義することが大切です。定義が曖昧では、従業員が改革の必要性を理解できず、どうしてもやらされ感が出てしまいます。改革自体もスムーズに進まないでしょう。

まとめ

企業を取り巻く環境が激変しているなか、組織風土も時代に合うものへと見直していく必要があります。組織風土の改革には、経営層の積極的な働きかけと従業員の理解の両方が必須です。本記事で紹介したポイントを踏まえて自社の目指すべき姿を描き、全社一丸となって改革を進めていきましょう。

新規事業化における課題や成功に導くポイントを解説!

新規事業立ち上げの流れ

新規事業の立ち上げを行う際には、最初に事業を立ち上げる目標を設定してから、事業の構想を練り事業計画を策定します。事業立ち上げから10年以上先までの大きな目標や、1年単位の短期的な目標を掲げて計画を策定することが、事業の成功につながります。新規事業立ち上げでは、顧客のニーズを元に、自社の強みを活かした事業にすることが大切です。

事業の運営には、必要な予算をまかなう資金を準備しなければなりません。そのため、投資額の計算や資金回収のシミュレーションもしっかりと行い、投資回収の計画も策定します。次に、新規事業を実施するプロジェクトチームの選定が必要です。チームメンバーは社内からやる気のある社員を集め、適任者など人員の補充が必要な場合には外部からもスカウトして人材を採用、確保します。

事業計画を策定し、資金とチームメンバーを揃えたら、次は新規事業の目標を設定します。売上高や顧客数など、数値で明確にわかる「定量目標」、期日を定める「期日目標」、社員やチームメンバーの気持ちを表す「勘定目標」、定量目標達成時の社内外の状態を想定する「状態目標」の4つから考えると適切な目標設定が可能です。また、万が一新規事業の成果が出なかった場合の備えとして、撤退基準を決めておく必要もあります。

最終的には、これまでに決定した内容から新規事業の実行計画を作ります。いつ、何を実行するか誰が実行するかなど、具体的な計画を立てることでプロジェクトメンバーが動きやすくなり、事業を成功に近づけることが可能です。

新規事業化をする際の課題

新規事業化をする際には、注意しなければならない課題もあります。新規事業化を阻む3つの関門や深刻な人材不足への対応などは、とくに気をつけなければならない課題です。

新規事業化を阻む3つの関門

新規事業化には、「魔の川(Devil River)」「死の谷(Valley of Death)」「ダーウィンの海(Darwinian Sea)」の3つの関門があるといわれています。事業化の過程に生じるこの3つの関門をそれぞれクリアしていくことが新規事業化の成功につながります。

魔の川

魔の川とは、商品開発の段階で生じる関門のことです。多様化した現代の生活形態から顧客のニーズも複雑になり、ただ新しい技術が組み込まれただけの製品では市場に受け入れられなくなってきています。自社のアイディアや研究を活かして市場のニーズに適した商品を開発できた場合に、この段階が超えられます。実際には、この商品開発の段階が乗り越えられないために事業化が終了するケースも少なくありません。

死の谷

死の谷は、商品化が決まり開発と事業化を行なう段階で発生する関門です。商品の試作品を製造し完成品まで作り上げて生産ラインを整え、完成した商品を販売するルートを準備する必要があります。この段階では多くの資金が投入されることもあり、商品の完成・事業化までを乗り越えるのはかなり難しいといえます。

ダーウィンの海

ダーウィンの海は、事業化が進み市場に出た製品・サービスの規模を広げて定着させる段階の関門です。この段階では、競合に勝てず市場で埋もれてしまうことがないように、市場や顧客のニーズに対応するため改良を続けていく必要があります。

深刻な人材不足

深刻な人材不足も新規事業化の大きな課題のひとつです。2017年度の「中小企業白書」では、新規事業化の課題のなかでも「必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足している」が一番の問題となっています。人材不足は、中小企業に対して行われた調査の回答からは、販路開拓やコストの負担といったほかのさまざまな課題と比較して、より多くの企業から注目されていることがわかります。

新規事業の立ち上げでは、一般的に中堅クラスの社員がプロジェクトリーダーとなり、優秀な若手社員からチームメンバーが選出されます。リーダーとなる社員やチームメンバーの社員はすでに多くの業務を抱えていることも多いため、その場合、通常業務と新規事業に関する業務の両方に取り組まなければなりません。

新規事業では企業に前例のない業務をゼロから作り上げていかなければならないので、事業に関係する技術やノウハウを持つ人材が必要です。商品開発、製作、事業化など、新規事業の関門を越えられるチームメンバーを構成するためには、多くの企業で人材が不足している状態といえます。さらに日本は、今後少子高齢化が進むことが予想されているため、将来的により人材が確保できなくなる恐れがあります。

新規事業化を成功に導くコツ

新規事業化を成功に導くためには、「4P・4C分析」や「成功する要因」を確認してから取り組むことが大切です。企業目線と顧客目線両方からのデータ分析、新規事業化の成功要因をおさえてから効率よく行なうことで、新規事業を成功させやすくなります。

4P・4C分析

4P・4C分析とは、マーケティング上の基本的なフレームワークのひとつです。企業視点で行なう分析が4P、顧客視点で行なう分析は4Cで、この2つを組み合わせたものは「マーケティングミックス」と呼ばれています。

4P

4Pとは、アメリカの「E.J.マッカーシー」がマーケティング戦略フレームワークとして考えだしたものです。企業視線の「製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)」の4つを示しています。「製品」は、製品の特徴、ブランド展開の方法、製品の保証体制、製品のパッケージデザインなどを消費者のニーズに合わせて決定します。「価格」は、商品のコストを基準に、他社との比較も考慮して消費者が納得する金額に決めます。

また、プロモーションはチラシやSNSなどさまざまな手法を用いた広告といった販売促進のこと、「流通」が製品やサービスを手に入れる方法のことです。実店舗以外に、経費を抑えるウェブのみで販売するケースもあります。

4C

企業視線で考えられた4Pの4つの項目を、消費者視線に置き換えたものが4Cです。「顧客価値(Customer Value)、顧客コスト(Customer Cost)、コミュニケーション(Communication)、利便性(Convenience)」の4項目があります。顧客が商品を手に入れたときに感じる感情・満足度などを表すのが「顧客価値」、「顧客コスト」は消費者が製品購入に積極的になる価格帯で、購入後の顧客に行なうアフターサービスなどを示す「コミュニケーション」、顧客の利便性を優先させた商品の流通方法が「顧客利便性」です。4つの項目それぞれが企業視線と逆の消費者目線での考え方なので、両方のフレームワークを組み合わせると、分析結果に消費者のニーズを反映できてより効果的に活用できます。

成功する要因を学ぶ

新規事業化を成功させる要因には、競合の少ない市場への参入、市場ニーズへの対応力、目的とターゲットの明確化、製造・販売のシステム構築などが挙げられます。新規事業立ち上げを競合が少ない市場へ参入する場合、製造した製品がほかに埋もれにくくなるため、競合が多い市場よりも成功率が高くなります。今後の需要がある市場かどうかを予測して実行すると、将来性のある事業への参入が可能です。

市場のニーズは時代の流れによって変化します。成長している市場に参入、今後の需要に合わせて対応できる力もつけておくことが大切です。新規事業立ち上げ時には、その目的とターゲットを明確にしておくと、目指すべき市場を発見しやすくなり参入後のマーケティング施策が立てやすいなどのメリットがあります。さらに、新規事業参入を成功させるためには、事業立ち上げ後の製品・サービスの流通方法や、市場に合わせて製品を改良する方法など、新規事業を運営していく仕組みの構築が必要です。

まとめ

新規事業化を行う際に生じる課題には、「3つの関門」や「深刻な人材不足」などがあります。新規事業化の課題を解決し、結果を成功に導くためには、「マーケティングミックス」などを活用し、成功の要因をおさえて事業化を進めることが大切です。

 

新規事業創出の手順や起こりがちな課題を解説!

新規事業創出の手順

新規事業創出には、「現状の把握」「方向性の決定」「市場のリサーチ」「計画の立案」「事業性の評価」といった流れがあります。このプロセスに従うことで、最短距離で新しい事業を生み出すことができ、リスクやコストを減らすことができるでしょう。

新規事業創出において第一にすべきは、現状の把握です。いまの状況をきちんと把握できていないと、せっかくよいアイデアが浮かんでも実現できない可能性があります。たとえば、素晴らしいアイデアなのに資金が圧倒的に足りない、収益性が現実的ではない、ノウハウがないため行動に移せないといった問題が発生しかねません。

自社の状況を正確に把握できたら、次は事業を進めるうえでの方向性を決めましょう。どのようなターゲットに何を販売するかを考えるプロセスです。この段階で細かく決めてしまうと、発想の幅を狭めてしまうおそれがあるため、大まかに方向性を定めるとよいでしょう。

そのあとは市場のリサーチを行います。これは、参入しようとしている市場がどのような状況なのかを調査するフェーズです。場合によっては、競合が多く市場が飽和状態といったことも考えられるため、しっかりと調査を進めましょう。あわせて、提供しようとしている商品やサービスに、ニーズがあるかどうかもリサーチが必要です。

次に、事業をどのように進めていくのか、具体的な計画を立案します。行き当たりばったりの計画を立ててしまうと、事業そのものがとん挫してしまうおそれがあるため、しっかりと時間をかけましょう。

最後に、事業性の評価を行います。事業へ取り組むにあたり、必要なリソースは何か、収益性はどうか、投入した資金を回収できるのはどのタイミングなのかを検討しましょう。事業性の評価が曖昧では、実際にビジネスが動き出したとき、想定していなかった事態が発生する可能性があります。

基本的には、このような流れで新たな事業を計画します。ただ、この流れ通り進めていても、さまざまな問題に直面するケースが少なくありません。次章では、新規事業の創出において起こりがちな問題を紹介します。

新規事業の創出で起こりがちな問題

新たな事業の立ち上げで起こりがちなのが、よいアイデアが浮かばないといった問題です。「今までにない革新的なアイデアを」「魅力的なビジネスモデルを」と考えても簡単に思いつくものではありません。アイデア出しに時間を割きすぎると計画がなかなか進まず、いたずらに時間を費やしてしまいます。

イデアがどうしても思い浮かばないのなら、アイデアの創出に役立つフレームワークを活用するのはいかがでしょう。ビジネスの世界でよく利用されるフレームワークとしては、ブレインストーミングマインドマップ、SCAMPER法などが挙げられます。

イデアがありすぎて選べないといった問題が生じる可能性もあります。新ビジネスの立ち上げに関わる人間が多いケースでは、各々からたくさんのアイデアが生まれることもあり、どれを選べばよいのかわからないと悩ましい問題に直面するかもしれません。

また、よいアイデアが思いついたものの、リソースが足りずに計画を実行に移せない問題もよく起こりがちです。事業に着手するための予算が足りない、投入できる人員が少なすぎるケースが考えられます。

予算が足りないのなら、金融機関で融資を受けるのも考えのひとつです。ただ、融資には審査がつきものであり、必ず融資を受けられるとは限りません。また、資金面の問題が解決したとしても投入できる人員が足りなければ、結局計画を実行に移すのは不可能です。

事業創出の課題を解消するポイント

円滑に事業創出を進め、スムーズに計画を実行へ移すために、課題を解消するポイントを押さえておきましょう。ここでは「AIの活用」と「ターゲットとニーズの徹底理解」の2つを紹介します。

AIの活用

AI(人工知能)の進歩は著しく、現在ではさまざまな製品やサービスに活用されています。身近なところでは、エアコンやスマートフォンなどにAI技術が投入されており、製造現場における画像認識、金融サービスでのクレジットカード不正検知などにも採用されています。

新規事業の創出でAIを活用するのなら、データの収集や分析などが考えられます。さまざまなデータをAIが分析することで、新たなトレンドを発見できる可能性があります。また、大量のデータから特定のパターン・傾向を見出すことができれば、そこから新たなビジネスのアイデアが思いつくかもしれません。

インターネット社会となり、あらゆる情報が溢れる現代において、人力で大量の情報を処理するのは困難です。データの収集を行うだけならともかく細かく分析まで行うとなれば、とても人力だけでは対応できません。AI技術を採用したツールやシステムを利用すれば、このような問題を解決できる可能性があります。

また、AIそのものを新たな事業に落としこむことも検討してみてはいかがでしょう。AIの活用は、製造や金融、医療、小売などさまざまなジャンルに広がっています。今後もAIを用いた新たな製品、サービスがどんどん生み出される可能性があります。AIに着目することで、新規事業に関するアイデアが生まれるかもしれません。

ターゲットとニーズの徹底理解

イデアが出ない原因は、ターゲットやニーズの理解不足かもしれません。ニーズをしっかりとリサーチすることで、どのような商品やサービスを提供したら喜ばれるのか、どうやってターゲットの不安や不満を解消できるのかがわかります。

ニーズを把握するため、既存の商品やサービスに関する満足度の調査を実施しましょう。その商品やサービスに対し、ユーザーが感じている不満や足りないものなどを調査します。それが明確になれば、何を提供すればよいかが見えてくるでしょう。

ニーズを正確に把握できていないと、事業計画そのものがとん挫するおそれがあります。ユーザーがそれほど求めていないものをリリースしてしまい、まったく売れない状況になりかねません。アイデアの創出だけでなく、事業そのものをスムーズに進めるためにも、ニーズの理解と把握が必要です。

リサーチの方法としては、まずアンケートが挙げられます。アンケートは、ユーザーのダイレクトな意見を把握できるもっとも手軽な手法です。現在では、オンラインでアンケートを実施できるツールやシステムもあるので、このようなサービスも積極的に利用してみましょう。

ユーザーへ直接インタビューを行うのも効果的です。アンケートの場合、ユーザーが本音で答えてくれているかどうかは不明です。もしかすると、面倒くさいからと適当に回答している可能性もあります。

一方、直接的なインタビューであれば対面での会話ができ、リアルな声を聞けます。ただ、正直な意見を聞くためには、インタビュアーに一定のスキルが求められることを理解しておきましょう。

時代のニーズを理解することも大切です。時代にマッチしない商品やサービスをリリースしても、高い確率で興味を引けません。また、時代を先取りしすぎるようなアイデアも同様に、ユーザーの共感を得ることができないでしょう。

とはいえ、斬新さがまったくないアイデアもユーザーの関心を引けません。このあたりが難しいポイントではありますが、リサーチやシミュレーションを徹底し、今の時代にマッチしているのかどうかを検討してみましょう。

まとめ

新規事業創出に成功すれば、自社の利益やシェアの拡大を実現できる可能性があります。正しい手順で取り組み、課題にもしっかりと向き合って事業創出を進めていきましょう。本記事でお伝えしたように、AIの活用やターゲット・ニーズの徹底理解が、新規事業創出の課題を解決に導くポイントです。

新規事業立ち上げの流れやアイデア出しに役立つフレームワークを紹介!

なぜ新規事業が必要なのか

新規事業の立ち上げが必要な理由は、企業が今後も発展と成長を続けるためです。現代においては、企業を取り巻く環境が大きく変わり、消費者の価値観も変化しました。企業がひとつの事業のみで発展を続けるのは困難であるため、新たなビジネスへ積極的に取り組む必要があるのです。

また、新規事業の立ち上げは、組織の幹部候補育成にもつながります。新しい事業に取り組むときは、コンセプトの立案や方針の策定、計画の実行、評価などに関わります。チームで新ビジネスの創出に取り組む経験をさせることで、チームワークの大切さや責任感など、組織の幹部に必要な要素を育めるのです。

ほかにも新規事業が必要な理由として、特定の市場や事業に固執しすぎると、組織の衰退を招くおそれがあるということが挙げられます。どれほど成長している市場や事業であっても、その状態がいつまでも続くとは限りません。市場が衰退しても、企業として生き残るためには新たなビジネスを生み出す必要があります。

新たな事業を積極的に生み出していれば、既存ビジネスの市場が飽和状態になっても安心です。魅力的な市場には多くの企業が目をつけるため、またたく間にレッドオーシャン化してしまうケースが少なくありません。このような状況になっても、次々と新しい事業を生み出していれば大幅な利益低下は免れるでしょう。

新規事業を立ち上げるベストタイミング

新規事業をいつ立ち上げるのか、タイミングで悩むケースも多いでしょう。ここでは、企業の創業期と成長期、成熟期、衰退期という4つのタイミングに分けて解説します。

まず創業期は、新たな事業に着手するベストタイミングとはいえません。組織が誕生したばかりの状態は、土台が安定していないことが多く、その状況でほかのビジネスに手を出すのはリスキーです。資金や人材などリソースが不足しているケースも多いため、時期尚早といえるでしょう。

成長期は、新規事業に取り組むベストな時期です。自社の主力事業が軌道に乗り、十分なリソースも確保できていると考えられるためです。万が一、新ビジネスへの取り組みが失敗し、損失を出したとしても補えるだけの体力はあるでしょう。

成熟期も、新たな試みを進めるのに適したタイミングです。経営が安定化しており、リソースにも問題がないため、スムーズに計画を進められるでしょう。ただ、既存事業の利益が頭打ちになりかけている、市場が飽和し始めているなど、危ない兆しが少しでもあるのなら、慎重に取り組みを進める必要があります。

衰退期は、何かに新しくチャレンジするには適さない時期です。競合に押されて売上が低迷している、優秀な人材が次々と流出しているといった状況で新たなチャレンジをしてしまうと、失敗したとき取り返しがつきません。現状を打破するため、新ビジネスに取り組むケースもありますが、石橋を叩いて渡る慎重さが求められます。

新規事業立ち上げの流れ

新規事業を立ち上げるときは、まず目的や目標を設定しましょう。それらが明確でないと、事業の方向性がぶれてしまう可能性があります。立ち上げメンバーのモチベーションにも関わるため、最初にきちんと設定しましょう。

目標が設定できたら、ビジネスのアイデアを出します。フレームワークを活用すれば、効率的に多くのアイデアを生み出せるでしょう。おすすめのフレームワークは後述します。

次に市場やニーズのリサーチを行います。情報収集に注力し、集めたデータを分析しましょう。リサーチがきちんとできていないと、消費者や時代にマッチしないビジネスになってしまう可能性があります。

そのあとは、事業の方向性を定め、具体的な計画を立てましょう。現実的かつ具体的な行動計画を立案し、実行へ移します。ビジネスが動き始めてからも、軌道に乗るまで適宜検証と改善を行いましょう。

なお、以下の記事も参考になるため、気になる方はチェックしてください。

新規事業化における課題や成功に導くポイントを解説!

新規事業のアイデア出しに役立つフレームワーク

新規事業の立ち上げにあたり、アイデア出しに難航してしまうケースは少なくありません。よいアイデアを出したい、と考えて出るものでもなく、ありきたりな発想になってしまうとの声もよく耳にします。アイデア出しに難航しているのなら、以下のフレームワークが役立つので、ぜひ活用してみましょう。

MVV

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、経営学者として名高いピーター・F・ドラッカーが提唱したフレームワークです。使命と未来像、価値観を設定し、事業全体の方向性を定めるのに用いられます。

新たな事業に取り組む際には、方向性を明確にしなければなりません。方向性が明確でないと、事業を進めるにあたり適切な舵取りができず、従業員もどこへ向かえばよいのかわからなくなってしまいます。

MVVを使えば、目指すべき方向性を定めるのに役立ちます。ビジネスの具体的なアイデア出しを始める前に取り組むとよいでしょう。

MVVにおける使命は、組織としての存在意義や実現すべき目標です。なぜそれを実現したいのかも考えて設定しましょう。未来像は、思い描く理想的な組織像です。どのような組織が理想なのか熟考して設定します。価値観は、組織としての価値観であり、企業の未来像を実現するにあたり何が必要なのかを示す部分です。

3C分析

3C分析は、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)からなる3つのCを分析するフレームワークです。事業で成功を収めるために何が必要なのか、どのような課題があるのかなどを発見するのに役立ちます。

顧客の分析では、ニーズや市場の規模、顧客の消費行動などが対象です。ニーズをきちんと分析できていないと、顧客にマッチしない商品やサービスの創出につながりかねません。また、市場規模が把握できていなければ、成長性のない市場へ参入してしまう可能性があります。

競合の分析も、ビジネスを成功させるために重要です。どのような敵がいるのか、戦力や勢力はどの程度なのかといったことがわからないと、戦いには勝てません。ビジネスにおいても、戦いで勝つには敵を知ることが大切です。競合の数や特徴、市場におけるシェアなどをしっかり分析しましょう。

自社の分析も必要です。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の故事が示すように、競合だけでなく自社の戦力や置かれている状況などを把握しなくてはなりません。資金や人材をどれほど有しているか、既存事業の特徴や現状はどうかといった部分を把握しましょう。

SCAMPER法

SCAMPER法は、Substitute (代える)、Combine (組み合わせる)、Adapt (適応させる)、Modify (修正する)、Put to other uses(他の使い道)、Eliminate (削減)、Reverse・Rearrange(逆転・再編成)の7つを軸にアイデアを量産できるフレームワークです。

たとえば、採用しようとしている材料を「代える」だけで、新たなアイデアが生まれる可能性があります。また、製品やサービスを「組み合わせる」ことで、画期的なアイデアが誕生するかもしれません。

このように、それぞれの切り口から発想を促すことができ、アイデアの創出に役立ちます。ひとつの切り口から考えるだけでなく、複数の切り口を組み合わせてアイデア出しに役立てるのもよいでしょう。

まとめ

組織の持続的な発展や幹部候補の育成、市場の飽和など、新規事業の立ち上げが必要な理由は多々あります。事業立ち上げの流れやタイミングも把握したうえで、取り組みを始めてみましょう。アイデア出しには、MVVや3C分析、SCAMPER法などフレームワークの活用がおすすめです。うまく活用し、アイデア創出に役立ててください。

店舗スタッフ・小売業の働き方改革のポイントは? 店舗での導入事例も紹介

働き方改革と小売業が抱える課題

現在、働き方改革は大企業・中小企業を問わず重要な課題となっています。
働き方改革とは、労働者が個々人の事情やライフスタイルに応じた働き方を選べるよう、従来の働き方を見直そうとする動きです。この背景には、少子高齢化による労働人口の減少や、長時間労働の是正を望む声が高まっていることなどが挙げられます。

厚生労働省は公式ホームページにて、働き方改革の目的として『我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています』と述べています。
働き方改革のもと社会が大きく動いていく中、小売業が抱えている課題と解決のヒントは果たしてどこにあるのでしょうか?

働き方改革がうまくいかない理由

現在、日本が直面している少子高齢化長時間労働などの問題に対し、官民でさまざまな取り組みを行っています。たとえばオフィスワーカーにおいては、コロナ禍の中で大きな話題となったテレワーク(リモートワーク)が、以前よりも働き方改革の手法の一環として推進されるようになりました。

しかし、多くの企業・店舗にとって働き方改革の導入は、現実的に難しいものがあります。その要因の1つとして考えられるのが、日本の多くの企業が労働集約的であるということです。小売業界はもちろん、業界・業種を問わずほとんどの企業が社員の労働力に支えられてきました。

そのため、たとえば働き方改革に即した制度を利用して、妊娠・出産・子育て・介護などのために時短勤務や休暇を希望する社員がいる場合、その仕事量はほかの社員の負担となるケースが多々あります。ほかの社員は残業を減らすように指示されている中、大きな負担を抱えることになってしまいます。

また、店舗スタッフの仕事量を減らすことで、マネジャーなどの上司がその分を負担するケースも見られます。すると上司は、多くの仕事を抱えるために仕事の質が落ち、会社の評価を得られずにモチベーションを大きく低下させてしまう可能性があります。

このような事情から、ただ時短勤務などの制度を実施するだけでは、飛躍的な労働環境の改善に至らないケースも多いようです。

小売業が抱える課題

小売業が抱える課題としては、慢性的な人手不足があります。利益を求めた結果、営業時間を延長していったため、余計に人手を必要とする状況に陥った業種もあります。そして長時間労働が生まれ、離職率が上がった結果、さらなる人手不足の加速という悪循環を抱えてきました。

これらは単に人手を増員するだけでは解決せず、働き方改革による勤務体系の抜本的な見直しが要求されます。

与はそのままとしています。残業時間も短縮し、一般的な飲食店の残業時間が200時間といわれる中で、スープストックトーキョーは多くても平均20時間程度となっています。今後は残業時間0を目指していくそうです。

また、店長などはこれまでクレーム対応のために休日出勤をすることもありましたが、現在では対象店舗の店長が休日の場合、近隣店舗の店長やエリアマネジャーが対応しています。そのため、店長でもしっかりと休みがとれるようになっています。

IT活用 で精算・商品管理作業を大幅に効率化「株式会社ビームス

最後に制度ではなく、IT活用により店舗の負担となる作業の短縮に成功した例をご紹介します。

アパレル業界でもIT化が進んでいますが、株式会社ビームスでは店舗内の全商品(約6,000点)に電子タグを装着。そして、POSシステムとRFIDリーダ・ライタを連携させることで、在庫の量を適正に保ち、在庫切れによる販売機会の損失を防ぎました。

仕事の効率もアップし、店舗での棚卸作業を平均40時間から4時間へと大幅に削減しました。アパレルでは取り扱う商品の多様さから、作業の複雑化が問題とされてきましたが、ITの導入によって業務をシンプルにしたことで、スタッフにとって働きやすい環境を実現させた好例です。

以上のような、「店舗の忙しい時間・暇な時間を分析してスタッフの働く時間を改善」「休暇を取りやすい環境づくり」「店舗のIT化」などはメリットも多く、働き方改革の中で考慮に入れておきたいポイントといえます。

まとめ

現在、国をあげて働き方改革が推進されていますが、日本には労働集約的な面があるため、なかなか実現できていない企業や店舗があるのが実情です。しかし、業務の見直しによる業務時間の短縮や残業カット、IT化などにより、売り上げを損ねることなく働き方改革を成功させている企業もあります。実例を参考にし、自社の課題克服に努めましょう。

 

ニューノーマルな時代だからこそ考えたい店舗分析の基本を紹介

新型コロナウイルスの影響で多くの店舗が甚大な被害を被っています。そして、このような状況だからこそ今まで以上に店舗の状態を把握し、分析することで、最適な戦略を実行し売上の最大化を狙う必要があります。そのためには店舗分析が必要になります。店舗分析とは「自社店舗はどのようなお店なのか?」を客観的データから把握するための作業です。店舗経営を最適化していく上で自店について様々な角度から分析していかなければいけません。その中心となるのはやはり「売上分析」でしょう。ここからは、基本である売上の仕組みから分析方法まで、店舗分析に必要な基本をご紹介します。

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「売上」とは?

売上とは商品の販売に応じて得られる対価であり、お客様が購入した際に、現金・クレジットカード・電子マネーなど様々な決済方法によって売上を得ることができます。店舗における一般的な計算式は次のとおりです。

売上=来店客数×購買率×平均単価

来店客数とは店舗に入店したお客様の総人数です。注意していただきたいのが、来店したものの何も購入しなかったお客様も一定数いることから、来店者数と購買者数はイコールではありません。購買率とは、来店したお客様のうち実際に商品を購入した人の割合を示します。購買率は次のような式で計算されます。

購買率=購買客数÷来店客数

次に、客単価とは1回の買い物でお客様が購入する金額であり、平均客単価は購入した全てのお客様で総売上金額を割った数になります。

平均単価=総売上金額÷購買客数

なぜ、当たり前の事実を改めて説明しているかというと、「商品単価を上げる」という方法以外で売上を向上するためには「来店客数」「購買率」「平均単価」のいずれかをアップさせることが重要だということを強く認識してもらうためです。

店舗分析の基礎

次に、店舗分析の基礎になる売上と利益の違いを解説します。売上は前述のように、商品の販売によって得た対価の総額になります。一方利益は、商品を販売するまでにかかったコスト(費用)を差し引いたものです。売上がどれほど高くとも、それに応じてコストも高ければ多くの利益獲得は見込めません。では、売上と利益を求めるために必要な基本をご紹介します。

値入高

商品の販売価格を決定することを値入と呼びます。さらに、商品の販売価格から原価(商品の仕入れや販売にかかったコスト)を差し引くと、値入高が求められます。値入高とはつまり、商品を販売した際に期待できる利益のことです。

値入率

商品の売価に対する利益の割合を値入率と呼びます。値入率が高いほど販売時の利益が大きく、値入率が低いほど販売時の利益が小さくなります。

 

値入率=(想定売価-仕入原価)÷想定売価×100(%)

 

利掛率

利掛率とは原価に対する値入高の割合を表します。

粗利益高

粗利益高(粗利)は実際の売買利益のことで、売上と売上原価との差額を意味します。

 

粗利益高=売上-売上原価

 

ロス率

何らかの理由により商品が販売できないとロスが発生することになります。飲食店では材料の過剰な仕入れやメニューの変更、小売店では万引きや内部スタッフによる横領などによって発生することが多いでしょう。

 

ロス率=ロス金額÷売上高×100(%)

 

利益の種類

一口に利益と言っても様々な種類があります。利益について理解を深めることも大切なので、ここで解説しておきます。

売上高総利益

売上からコストを差し引いた利益のことを売上高総利益と呼びます。例えばお弁当なら材料費や容器費と言った仕入れ金額を売上から差し引いて求めます。

 

売上高総利益=売上―売上原価

 

営業利益

商品を販売する際には、材料の仕入費以外にも様々な費用が必要になります。そうした費用を「販売費用及び一般管理費用(販管費)」と呼び、従業員に支払う人件費や交通費、店舗の賃料や光熱費、広告費を初め取引先との会食にかかる接待費用なども含みます。つまり、会社の営業活動を継続するためにかかる全ての費用です。売上高総利益から販管費を差し引いたものが営業利益となります。

 

営業利益=売上高総利益-販管費

 

総利益

店舗の主な営業活動以外から得られる収益を「営業外収益」と呼び、株式や預金によって生じる配当金や利息などが該当します。この営業外収益と営業利益を合わせたのが総利益です。

 

総利益=営業利益+営業外収益

 

純利益

純利益は店舗の通常業務から得られた利益です。総利益から営業外費用や支払利息などを差し引くことで算出されます。

 

純利益=総利益-営業外費用

 

店舗分析(売上分析)のポイント

では、店舗分析(売上分析)を実施するために欠かせないポイントをご紹介します。

ポイント1. 売上分析の目的を明瞭に

売上分析ではまず、分析の目的を明瞭にするところから始めます。目的が明確でないと「何のための分析なのか?」が分からないまま分析に取り組むことになるので、有効な情報を得ることが難しいでしょう。目的を明瞭にするためにまず必要なのが「現状課題の把握」です。

ビジネスの中で身を置いていれば日頃から業務課題や経営課題を肌で感じていることでしょうが、改めて整理すると今まで見えてこなかった部分が見えることもあります。さらに、どのような課題があるのかに加えて「何が原因なのか?」を知ることも大切なので、目的の明瞭化を始める前に現状課題の整理をしましょうl。

整理ができたら率先して解決すべき課題に優先順位をつけ、そこから売上分析の目的を明瞭にしていきます。

ポイント2. 難しく考えずに分析する

「売上分析」と聞くと難しいイメージが定着しているので、分析に消極的になってしまう気持ちもわかります。しかしながら、「分析とは何だろうか?」と頭で考える以前に、「売上の単純な比較」を地道に行うことが重要です。

例えば2020年には10億円だったA社の売上高が、2021年には9億円に下がったと仮定します。売上分析とはつまり、2つの数字を比較することにあります。ただし、大切なのは「詳細に比較していくこと」であり、そこから前項で整理した課題を解決していく糸口を見つけます。

新規顧客への売上高が低下したのかもしれませんし、既存顧客への売上高が低下したのかもしれません。実際に蓋を開けてみないことには、同じ売上分析でも見えてくるものが全く違います。だからこそ、難しく考えずに分析へ専念することが重要です。

ポイント3. 売上データを細分化する

売上データを細分化(セグメンテーション)することで、多くの事実に気づくことができます。「月別売上」「顧客別売上」「商品別売上」「担当者別売上」「部門別売上」「店舗別売上」と言った具合に、細分化していきます。このように売上データを細分化することで、現状課題に対して「何が問題なのか?」を浮き彫りにできます。

また、売上データを細分化するだけでなく、前年同月比を出したり、同業他社の売上などと比較することも大切です。

リアルタイムな店舗分析基盤を構築しましょう

現代の社会を生き残るためにはデータが必要不可欠であり、それらをうまく分析し経営に役立ててこそ勝ち残れると言っても過言ではありません。店舗分析(売上分析)のための手法がたくさん存在しましが、まず大切なのはやはり分析に必要なデータを集めることです。多店舗経営を実践している場合には、その情報を集めるための仕組みづくりや仕掛けが欠かせなくなるでしょう。ぜひ、この機会の店舗分析や店舗運営のためのプラットフォームをご検討ください。

店舗運営マニュアルの重要性と作成のヒント

売店の運営会社や、多店舗展開している企業にとって店舗運営マニュアルは欠かせません。店舗運営マニュアルが整備されていないと、サービス品質が低下し顧客満足度にもいい影響を与えないでしょう。この記事では、店舗運営マニュアルの重要性や、作成時のポイント、覚えておくべき注意点などについて解説します。

 

店舗運営マニュアルの重要性とは

そもそも、どうして店舗運営マニュアルが必要なのでしょうか。店舗運営マニュアルは、お店で働くうえでの約束事をまとめた、いわばルールブックです。ルールがない環境で働くとなると、店舗の責任者やスタッフが自分勝手な行動をしてしまい、最終的に企業イメージを損ねることにもつながりかねません。

また、現在の日本では少子化の流れがさらに進んでおり、今後さまざまな業界において働き手の確保が難しくなるとも言われています。少ない働き手をスピーディーに実戦レベルへ昇格させ、お店の戦力とするためにも店舗運営マニュアルは必要なのです。

マニュアルを作成することで、研修時の業務説明を簡略化できたり、業務の標準化が実現できたりするため、人の出入りが激しいお店であっても運営や責任者の負担が軽減されます。

続いては、店舗運営マニュアルを作成することのメリットについて詳しく解説していきます。

研修時の業務説明が簡単になる

スタッフ研修は、スムーズかつ適切に業務へ従事できるよう説明を行うことが重要です。このとき、働き方に関するルールが定められていない場合、説明内容は統一性を欠き、スタッフが混乱してしまう恐れがあります。店舗運営マニュアルがきちんと用意されていれば、各スタッフが明確なルールや働き方をしっかりと理解でき、いざ現場に入ったときの即戦力になる可能性も高くなります。

また、マニュアルがあれば、説明する側の負担を軽減できるというメリットもあります。その都度資料を用意する必要がなくなり、研修自体も簡略化可能。

加えて、誰が説明しても受け手の解釈にブレが生じなくなるのもメリットです。「しっかりとした店舗運営マニュアルを制作し、なおかつ研修スタイルも統一する」。これにより、スムーズに新規スタッフを育成することができるでしょう。

業務の標準化

業務を標準化し、マニュアルに記載することで誰もが同じ作業を行えます。もしこれができていないと、特定のスタッフにしかできない業務が存在してしまい、その人が休むと現場が回らなくなるということにもつながります。

こうした業務の属人化はできるだけ回避しましょう。そのためには、業務フローをしっかり明確に記載し、マニュアルを読めば誰でも業務に従事可能な仕組みを作らなければなりません。

業務を標準化すれば、品質の安定にもつながります。作業のプロセスをマニュアルへ記載し、全スタッフが同じ手順で業務を行うことで、品質が安定するだけでなく、ムダな動きを省くこともできます。加えて業務効率向上も期待できるでしょう。

また、年数が経過するにつれて業務のプロセスやルールが変更することも考えられます。このようなとき、マニュアルを更新せず放置してしまうと、スタッフが古いルールのまま業務を進めてしまいかねません。こうした事態が起きないよう、マニュアルは定期的に更新し、内容の変更をきちんとスタッフへ周知させる必要があることも覚えておきましょう。

店舗マニュアル作り方のポイント

初めて店舗運営マニュアルを制作するときは、何から手をつけてよいのかわからないかもしれません。決まった作り方はありませんが、ここではいくつか大切なポイントについてお伝えします。

行動と目的を記載する

現場に配置されたばかりのスタッフは、自分が何をすればよいのかわかりません。このようなスタッフがスムーズに業務へ従事できるよう、行動レベルまで落としこんだマニュアルを制作するのが大切です。

業務を行う場所や時間、分量なども明確に記載するとよいでしょう。

例えば、「Aの作業を行うときは必ずBの場所でする」「Cの作業分量が規定値に達したならDの作業へ移行する」といった具体性が重要です。作業時間や分量に関して具体的な数字で記載すれば、よりスタッフの理解を深められるでしょう。

また、スタッフがとるべき行動のみ記載するのではなく、併せて目的も明確にします。取るべき行動のみを記載しても、スタッフは「どうしてそれをするべきなのか」がわかりません。目的まで記載しておけば、スタッフは「この目的を達するためにこの行動が必要なのか」と理解しやすくなります。

店舗マニュアルに従うメリットを記載する

マニュアル制作の基本として、誰が読んでも理解できる内容に仕上げることが大切です。同時に、わかりやすい優れたマニュアルを制作しても、スタッフが守ってくれなくては意味がありません。

きちんと業務を遂行してもらうためにも、マニュアルに従うことでミスを減らせる、作業が楽になる、評価がアップするといったメリットがあることをしっかりと伝えましょう。

ミスの発生を自ら望むスタッフはいませんが、業務をするうえでミスは付きものです。スタッフのミスをできるだけ少なくするよう、業務フローやルールを作り、かつそれを明確に記載する必要があります。

作業負担を軽減できることや、評価がアップして待遇の改善につながることもメリットです。特に「評価のアップ」「待遇の改善」は、スタッフのモチベーション上昇につながります。

またマニュアルを守らなかったときに、どのようなデメリットが生じるのかを記載するのもよいでしょう。ケガにつながる、ペナルティの対象になるなどスタッフがイメージしやすい、リアリティのあるデメリットを記載しましょう。

店舗マニュアルの作成時の注意点

ここでは、店舗運営マニュアルを作成するときの注意点をいくつか紹介します。これらをきちんと踏まえておかないと、せっかくマニュアルを作成してもメリットが得られない恐れがあります。

説明が抽象的で複数の解釈の余地がある

説明が抽象的すぎると、スタッフは作業のイメージがしづらく、誤った手順で仕事を進めてしまう可能性があります。その結果、ケガやミスが発生し、全体の業務効率が低下してしまう恐れもあるのです。

また、マニュアルを読んでさまざまな解釈ができてしまうようでは、読み手によって異なる解釈をしてしまうため、現場で混乱を招いてしまいます。その結果、業務の標準化が難しくなってしまいます。

このようなことが起きないよう、具体的な内容を記載するよう仕上げなくてはなりません。誰が、いつ、どこで、何をするべきかといった具合に、丁寧かつ具体的に記載しましょう。

さらに、完成したマニュアルはいきなり配布せず、誰もがわかりやすい内容になっているかの確認が必要です。できれば、業務に熟知していない人にチェックしてもらい、必要に応じて修正も加えるとよいでしょう。

説明の構成がまとまっていない

構成がまとまっていないと、マニュアル本来の機能を果たせません。作業に入った際、手順やルールを再度確認したいとき、マニュアルを開いて知りたい情報をすぐに探せないようでは役に立たないのです。

わかりづらいものだと、マニュアルに書かれた内容を忘れやすくなり、さらには思い出しにくくもなります。時系列や目的別に構成し、必要な情報へすぐにアクセスできるように仕上げましょう。

また、説明の順番についても注意が必要です。きちんと順を追った丁寧な説明で構成されていないと、使いにくく内容を理解しにくいマニュアルになってしまいます。行き当たりばったりで作成してしまうと、こうした事態に陥りがちです。

まずは全体の構成をきちんと考えることが大切です。そのうえでひとつひとつの作業フローやルールを振り返りながら記載するよう心がけましょう。

まとめ

店舗運営マニュアルを作成すれば、研修時の負担を軽減できるだけでなく、業務の標準化も実現可能。ただ、こうしたメリットを得るには、正しく明確なマニュアル制作が求められます。スタッフがすべき行動や目的の記載はもちろん、マニュアルに従うメリットなどもきちんと盛り込んで制作するとよいでしょう。